溜息の沼

愚考

シン・ウルトラマンについてアレコレたまに考察

シン・ウルトラマン
いよいよ公開ということで見てきました。

ネタバレをちょこちょこ含みますが、
色々と語っていきたいと思います。

シン・ゴジラを見ていたつもりが、いつのまにかエヴァンゲリオンを見ていた。でも、終わってみればそれはウルトラマンだった】






・そもそもの話
Twitter等でトレンドに上がってますので、皆様のいろんな感想が散見されます。
個人の主義主張もあるので言及はしませんが、「庵野監督」って言ってる人が多すぎやしませんかね?
庵野は監督じゃね〜〜〜〜!!!!」と先ずは言いたい。
総監修が庵野、まずはそこをから省みてほしい。
そりゃあ総監修だし、最終的にオムニバス形式の本作のネタを取りまとめたのも庵野さんだし、「監督が庵野」と思う人も多いかもしれない。
でも、「庵野が監督だから」って目線で見るだけで随分と感想が違ってくるかと思うので、そこは分かってほしいなと思っている。
「また庵野のオ○ニーかよ」みたいな意見で本作を遠ざけるのは随分と勿体ないと思います。



・誰がこの作品をおもしろいと思えるのか?
①ガチガチの特撮オタクはきっと微妙な感想を持つと思っています。「CGのウルトラマンなんて…」と思うのも分かります。それでもウルトラマン好きには、100%じゃなくても60%は刺さったはず。

②中途半端にウルトラマンを知っている人間が、きっと一番楽しめると思う。
僕はこの層なんですが、「ウルトラマンは最初のシリーズ」「メフィラス星人とのやりとりがあるんだよね」「最後はゼットンに倒されちゃうんだよね」ぐらいは知っている、かつ「特撮だからこそ○○じゃなくちゃいけない」みたいな拘りもない。きっとそれぐらいの人間の方が一番楽しめる、はず。

シン・ゴジラないしエヴァが好きだから観に行った人は、「よくわかんなかったけど面白かったw」ぐらいの感想で終わってしまう気がする。でもきっと、娯楽なんてそんなもんでいいんだろうなとも思う。



・個人的ここ好きポイント
鷺巣詩郎
音楽担当の方ですね。
僕は特に新劇エヴァのサントラが好きで、(ベタですけどファイナルディシジョンとかゴッズギフトとか)、今回もあのテイストの曲が流れたのが一番興奮しました。轟音上映で観て良かったなぁと思います。

②映像的な「これでええやろ」感にシンパシー
映像制作の仕事をしてる僕ですが、「別にこんなカットは手抜きでいいでしょ。クオリティよりもカットの繋がりのが大事!」と思って撮影・編集する事が多々あります。
本作もiPhoneで演者に撮影させたりして、結構映像自体のクオリティがまばらになってるんですよね。
でも「そんなん気にならないから色んなアングルで撮影しまくってカット増やしまくろう!」みたいなのが感じられて、『やっぱそうだよね!?』と勝手にシンパシーを感じていました。

ウルトラマンの改変と再構築
ウルトラマンシリーズでは「怪獣との戦い」だけでなく「人間が何を感じて、どう行動するか」ってのが結構描かれてると思ってるんですが、本作はそこをしっかり描きつつも、大衆作品らしく目を引くバトルなんかも丁寧に押さえていたと感じた。
元々のウルトラマンから、制作が描きたいエビデンスを抽出し、現代風かつ原型を壊さない形で再構築していた脚本には感嘆しました。


・考察っぽいもの
シンゴジラの地続きみたいな感想が散見されましたが、そんなことどこにも明言されていませんでしたよね?
竹野内豊さんが出てきたから地続き?そりゃ思考放棄ってもんでしょうが。
そしたら斎藤工さんはシンゴジラ自衛隊員だったけど、そこから公安→禍特対ってなったとは考えられない。
(そもそも最初の巨体不明生物がゴメスだし…)
シンゴジラっぽいのは全部ファンサみたいな物だと思ってます。
竹野内豊さんの役名が「政府の男」っていうのも悪い。そんなん邪推しろって言ってるようなもんじゃないの…俺は騙されんぞ!!
そもそも樋口監督インタビューで「作る姿勢はシンゴジラから地続き」って言ってるし、そのまま同じ世界だと思い込むのは危険かと。

本作は、「作り手の趣味を混ぜつつ、いかに多くの人に見てもらえるか」で考え抜かれた"特別な大衆映画"だと思っています。
『たくさんの人に見てもらいたい。でも、俺たち作り手の本当に見せたい物も感じてほしい!」という意思を感じました。
キャスト配置や演出、細部の小ネタなんかにま、その辺のバランス感覚が上手くとれている映画だったと思います。


・最後に一言
『家で見たら、きっとチープに感じちゃうんだろうな』



次回はシン・仮面ライダーでお会いしましょう。